■自然空冷式
自然空冷式は、自然に発生する対流によって冷却します。
強制的に風を送らなくても、ヒートシンクの温度が周囲温度に比べて高くなると、ヒートシンク周りの空気が温められて軽くなり、自然に対流が発生します。
自然空冷式ではフィン間の通過風速と、表面積が重要となります。表面積を大きくするためにフィン枚数を増やし、フィン間隔が狭くなるとフィン間の通過風速が遅くなるため、熱伝達率が小さくなり放熱性能が下がってしまいます。
フィン枚数を減らしフィン間隔が広くなると、熱伝達率は大きくなりますが、全体の表面積が小さくなるため、放熱性能は下がってしまいます。そのため、全体の表面積と通過風速のバランスの良い最適フィン枚数、最適フィン間隔が存在します。フィンピッチをあまり狭くしないため、押出し式がよく使用されます。
■強制空冷式
強制空冷式はファン等を使って、強制的に対流を発生させて冷却する方式で、自然空冷式と比較して放熱性能は大幅に上がります。
強制空冷式では、ファン等のダクト等を利用してフィン間に確実に風を流すことにより、放熱性能を上げることができます。自然空冷式と違い強制的に対流を発生させるため、フィンピッチを狭くできるカシメ加工品がよく使用されます。
同寸法における自然空冷式と強制空冷式(風速3 m/s)での熱抵抗値は約8倍の差があり、熱抵抗値が1(℃/W)を下回らなければならない場合、強制空冷式を検討する必要があります。
【ヒートシンクの選定方法】
装置構成が発熱体・TIM・ヒートシンクとした場合、
発熱体の許容温度をTj=90(℃)、環境温度をTa=40(℃)、
発熱体の消費電力をQ=30(W)、TIMの熱抵抗をRcs=0.05(℃/W)とすると、許容されるヒートシンクの熱抵抗Rhsは
Q = ( Tj – Ta) / (Rcs + Rhs)
Rhs = ( Tj – Ta) / Q – Rcs
= (90 – 40) / 30 – 0.05
= 1.667 – 0.05
= 1.617
ヒートシンクの許容熱抵抗は1.617(℃/W)となり、Rhs = 1.617(℃/W)以下なら発熱体の温度を90℃以下にできます。
許容熱抵抗値とヒートシンクサイズから、自然空冷か強制空冷のどちらで検討するかを判断します。
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