マグネットスイッチの基本解説 (構造・機能・選び方)

マグネットテクノロジー

みなさんは、マグネットスイッチという電機部品を知っていますか?

磁石の性質を利用して電気回路の開閉をおこなうスイッチの一種ですが、身近なところでは、空調設備やエアコン室外機などに使われています。ここでは、そんなマグネットスイッチの概要について説明し、マグネットスイッチの選び方や、メンテナンス時の注意点などについて解説しています。

マグネットスイッチとは?

マグネットスイッチとは、磁気エネルギーを利用して電気回路の開閉を行うスイッチのことで、電磁開閉器とも呼ばれています。 これは電流を通すと磁気が発生する特性を持つコイル (ソレノイド) と、その磁力によって動作する接点部分 (スイッチ) で構成されています。

マグネットスイッチは、磁石の力を利用して回路を開閉します。一般的なスイッチとは異なり、物理的な押しボタンがなく、磁石の位置や磁力の変化によって動作します。

■マグネットスイッチの役割

マグネットスイッチの主な役割は、電気的な信号によって物理的な動作を制御することです。この役割は、エネルギーの転換(電気エネルギーから機械エネルギーへ)と制御に必要な信号の伝達を実現します。具体的には、電源のON/OFF、モーターの始動・停止などを制御します。

■主な用途

マグネットスイッチは、家電製品 (エアコンの運転開始・停止、洗濯機の水位制御)、自動車 (エンジン始動)、産業機械など、さまざまな用途で使用されます。また工業分野では、プラントの制御や工作機械の動作制御など、大電流を扱う場面で利用されます。

■マグネットスイッチとリレーの違い

マグネットスイッチとリレーは、磁気エネルギーを利用して電気回路の開閉を行う点においてほぼ同じ機能といえます。ですが、その用途と扱う電流の大きさが異なります。

マグネットスイッチは、主接点と自己保持などを制御する補助接点で構成されており、モーターやヒーターなどの大きな電流が必要な機器の接点として用いることが多く、リレーと比べて大型になります。リレーは主接点のみであり、主に信号や制御回路に使用するため小型に設計されています。

マグネットスイッチの種類

マグネットスイッチには、リードスイッチ、ホールセンサなどの種類があります。

■リードスイッチ

リードスイッチの中にも二つのタイプがあります。
二つの金属片に磁界をかけると接点が閉じ、磁界をかけるのをやめると接点が開くタイプと、二つの金属片に磁界をかけると接点が開き、磁界をかけると接点が閉じるというタイプです。
マグネットスイッチの多くがこのリード式のスイッチです。

開閉検知センサ(磁気スイッチ式)

開閉検知センサ
(磁気スイッチ式)

IP67防水開閉検知センサ(デジタル信号出力タイプ)

IP67防水開閉検知センサ
(外部電源不要タイプ)

■ホールセンサ

ホールセンサは、半導体素子によって磁力を検出し、その出力電圧によってスイッチングを行います。磁石が近づくとホールセンサ内の電圧が変化し、それによって回路の開閉が制御されます。

IP67防水開閉検知センサ(デジタル信号出力タイプ)

IP67防水開閉検知センサ
(デジタル信号出力タイプ)

マグネットスイッチは、耐久性に優れているという利点があります。また、機械的な摩耗や汚れによる故障が少なく、長寿命で信頼性の高いスイッチとして広く使用されています。

マグネットスイッチの構造

マグネットスイッチは、基本的にはソレノイドの接点から構成されており、これらの要素が複雑な制御操作を可能にします。

■ソレノイドと接点の関係

ソレノイドは、電流を通すと磁力が発生するコイルのことで、この磁力によって接点が動作します。接点は、磁力によって引き寄せられ、この動きが電気回路の開閉を行います。この関係性がマグネットスイッチの基本的な動作原理となります。

  ソレノイドについて  

■接点の種類と特徴

接点の種類には一般的に NO(ノーマルオープン)とNC(ノーマルクローズ)があり、NOはスイッチがオフの状態では回路が開いており、スイッチがオンのときに回路が閉じます。一方、NCはスイッチがオフの状態では回路が閉じており、スイッチがオンのときに回路が開きます。

これらの接点は、銀や銅などの導電性の高い素材と、磁石などの磁性体との組み合わせで作られ、磁気が発生したときに確実に動作するように設計されています。マグネットスイッチの適切な選定と使用には、このような接点の特性を理解することが重要です。

マグネットスイッチの機能

■開閉操作

マグネットスイッチは電気回路の開閉を制御する基本的な機能を持ちます。電流をソレノイドに通すことで磁力が発生し、接点が動き回路が開閉します。この動作を制御することで、電源のON/OFFやモーターの始動・停止などを行うことができます。

■自動化や遠隔操作の実現

マグネットスイッチは所定の電圧によって動作するため、電子制御システムと組み合わせることで、タイマーやセンサーからの信号を用いてスイッチのON/OFFを制御することができます。これにより、労力が必要な作業の自動化や、装置の遠隔操作が可能になります。

■負荷装置の保護

マグネットスイッチは、過電流や過電圧などの異常状態を検知し、回路を開くことで不可装置を保護する用途にも利用されます。これにより装置の損傷や事故の防止が可能であり、特に大電流を扱う産業機械などでは、この機能は重要な役割を果たします。

マグネットスイッチの選び方

■定格電流と定格電圧の確認

マグネットスイッチを選ぶ際は、まず定格電流と定格電圧を確認することが重要です。これはスイッチが安全に動作できる電流値と電圧値を表しており、使用する装置の電流や電圧がこれらの定格を超えないようにすることが必要です。

■接点の形状と素材

接点の形状と素材は、マグネットスイッチの動作特性や耐久性に影響します。
NO(ノーマルオープン)かNC(ノーマルクローズ)かにより、スイッチの基本的な動作が決まります。素材選定においては、接点が大電流に耐える能力や接触抵抗などを考慮する必要があります。
また、接触抵抗が大きいと導電性が低く、正常に導通できずにモーターが動作不良を起こす可能性が高くなるため、銀や銅などの導電性の高い素材が一般的に利用されます。

開閉検知センサ(磁気スイッチ式)

開閉検知センサ
(磁気スイッチ式)

■付加機能の検討

最後に、スイッチに付加機能が必要かどうかを検討します。例えば、過電流や過電圧保護機能、自動リセット機能、遠隔操作機能などがあります。使用する装置の特性や使用環境に合わせて必要な機能を明確にしておくことで、適切なマグネットスイッチを選定することができます。

IP67防水開閉検知センサ(外部電源不要タイプ)

IP67防水開閉検知センサ
(外部電源不要タイプ)

IP67防水開閉検知センサ(デジタル信号出力タイプ)

IP67防水開閉検知センサ
(デジタル信号出力タイプ)

マグネットスイッチのメンテナンスと寿命

マグネットスイッチは適切なメンテナンスと寿命管理を行うことで、スイッチの安全な動作を維持しつつ長寿命化することができます。

■保守点検の重要性

マグネットスイッチは、開閉動作が繰り返されることにより摩耗するため、定期的な保守点検が必要です。例えば、三相モーターの場合、摩耗した接点の使用を続けると欠相した状態で運転することとなり、モーターの異常発熱によるトラブルの要因となります。

適切な保守点検は、マグネットスイッチの正常な動作を維持し、突発的なトラブルを防ぐ上で非常に重要です。

■寿命と交換時期の目安

マグネットスイッチの寿命は、使用環境や操作頻度に大きく影響されます。一般的に、スイッチの接点は大量の電流を通すことで徐々に摩耗し、その性能が低下します。したがって、接点の摩耗状況を定期的に確認し、必要に応じてスイッチ全体または接点部分の交換を行うことが推奨されます。とくに工場などの大電力を制御するマグネットスイッチでは誤動作した時に重大な事故につながりかねません。

そのため、スイッチの動作に異常を感じたり、特定の症状(例えば、スイッチの接点が焼けている、スイッチの動作音が大きいなど)が現れた場合は、すぐに専門家に相談することが重要です。これにより設備の安全を確保し、大きな損害を防ぐことが可能になります。

まとめ

以上、マグネットスイッチについて解説しました。
マグネットスイッチは私たちの日常生活から産業機械に至るまで、様々な用途で幅広く使用されています。そのため、応用や使用例、製品のラインナップが非常に豊富で、適切なマグネットスイッチの選定に迷うこともあるかもしれません。

当社には磁気専任のエンジニアが複数名在籍しております。マグネットのことでお困りでしたら、ぜひお気軽に下西技研工業グループまでお問い合わせください。ご使用用途などにあわせて提案させていただきます。

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