磁気センサーの基本と応用:最新技術と活用方法

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皆さんは「センサー」を意識したことがありますか?

多くの場合、センサーは装置の内部など、人目につかないところで大変重要な役割を果たしています。センサは沢山の種類がありますが、磁気を検出するセンサーを「磁気センサー」と呼びます。ここでは、磁気センサーの概要と、選定上の注意点について簡単に解説しました。

 

 

磁気センサーとは?

磁気センサーは、磁場を検出して電気信号に変換するデバイスです。磁場は周囲の磁性体や電流から生成され、磁気センサーはそれを感知することで様々な情報を取得します。磁気センサーは非接触で作動し、小型で信頼性が高いため、広範な分野で使用されています。

■基本原理と種類

磁気センサーの基本原理は、磁場の影響を受ける物理効果を利用しています。代表的な種類には以下のものがあります。

ホールセンサー: ホール効果を利用して磁場を検出します。ホール効果は、電流が流れる導体上で磁場がかかると、ホール素子に生じるホール電圧が変化する現象です。

リードスイッチ: 2本の強磁性体リードをわずかな間隔をあけてガラス管に封入、外部磁界をかけるとリードが接触し、外部磁界を除くと元に戻ることで、ON・OFFを行うスイッチです。

MRセンサー: 磁気抵抗効果を利用して磁場を検出します。磁気抵抗効果は2つの磁性体層の間に挟まれた非磁性層で磁場を検出し、その変化によって電気抵抗が変化する現象です。この電気抵抗の変化を捉え、磁場を検出します。

 

■用途と活用事例

磁気センサーはさまざまな用途で活用されています。以下にいくつかの事例を紹介します。

自動車業界での活用: 自動車では磁気センサーがエンジンの回転数や位置を検出するために使用されます。また、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やエアバッグの展開制御などにも磁気センサーが利用されています。

スマートフォンやタブレットでの活用: スマートフォンやタブレットの内部には磁気センサーが搭載されており、地磁気センサーや羅針盤として使用されます。これにより、デバイスの方位や傾きを検出することができます。

産業機器やロボティクスでの活用: 磁気センサーは産業機器やロボティクスにおいて、位置検出やモーター制御などに利用されます。例えば、コンベヤーシステムの位置検出やロボットアームの位置決めに磁気センサーが活用されています。

 

磁気センサーの代表的な種類

■ホールセンサー

ホールセンサーは、磁場の変化によってホール素子内のホール電圧が変化することを利用して磁場を検出します。主な特徴は以下の通りです。

 

  • 非接触で作動するため、高い信頼性と長寿命を持ちます。
  • 磁場の強さや極性の変化を検出することができます。
  • 低消費電力で動作し、小型化が可能です。
  • 自動車業界や電子機器、産業機器など幅広い分野で使用されています。

 

■リードスイッチ

リードスイッチは、2本のリード接点端部の隙間で接点を開放しており、リード接点端部に外部から磁界をかけると、リードの接点端部が引き付け合い、閉じることで閉路します。以下が特徴です。

 

  • 小型で軽量なため、機器や装置の小型化に適します。
  • ガラス管に封入されているため、ほこりや湿気などの外部環境の影響を受けません。
  • 温度による特性変化が少なく、幅広い温度条件での使用が可能です。
  • 白物家電、ノートパソコンなど幅広い分野で使用されています。

 

■MRセンサー

MRセンサーは、磁気抵抗効果を利用して磁場を検出します。磁気抵抗の変化によって電気抵抗が変化し、それを検出することで磁場を計測します。以下が特徴です。

 

  • 非常に高い感度を持ち、微小な磁場変化を検出することができます。
  • 広い温度範囲で安定した性能を発揮します。
  • 高い磁場分解能を持ち、高精度な磁場測定が可能です。
  • ハードディスクドライブや磁気記録ヘッドなどで使用されています。

 

磁気センサーを活用する業界と用途

■自動車業界での活用

エンジン管理: 磁気センサーを使用してエンジンの回転数や位置を検出し、点火タイミングや燃料噴射の制御に利用します。

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム):車輪の回転速度を検出するために磁気センサーが使用され、ブレーキ制御に役立ちます。

エアバッグ制御: 衝突検知に磁気センサーが使用され、エアバッグの展開トリガーとなります。

 

■スマートフォンやタブレットでの活用

コンパス: 地磁気センサー(ホールセンサーやMRセンサー)を使用して、デバイスの方位を検出します。

スリープ/ウェイク機能: 磁気センサーを使用して、デバイスのカバーを閉じたり開いたりすることでスリープやウェイク状態を制御します。

磁気付属品検出: 磁気センサーを使用して、付属品(例:スマートフォンケース)が装着されたことを検出し、適切な動作を行います。

 

■産業機器やロボティクスでの活用

位置検出: 磁気センサーを使用して、機械や部品の位置を検出し、制御に利用します。

モーター制御: 磁気センサーを使用して、モーターの位置や速度を検出し、適切な制御を行います。

マテリアルハンドリング: 磁気センサーを使用して、物体の位置や状態を検出し、効率的なハンドリングを実現します。

 

磁気センサーの選び方と注意点

磁気センサーを選ぶ際には、以下のポイントに注意して選択することが重要です。

 

■センサーの性能や特性を理解する

磁気センサーの性能や特性を理解することは、適切なセンサーを選ぶために必要です。

感度: センサーの感度は、検出できる磁場の強さや範囲を示します。使用環境や目的に合わせて、適切な感度のセンサーを選ぶ必要があります。

応答時間: 応答時間は、センサーが磁場変化に対して反応する速さを示します。高速な応答が必要な場合は、短い応答時間を持つセンサーを選ぶ必要があります。

温度特性: センサーの性能は温度によって変化することがあります。使用する環境の温度範囲を考慮し、温度変化に対して安定した性能を持つセンサーを選びましょう。

 

■用途に適したセンサーを選択する

磁気センサーの用途に応じて、最適な種類のセンサーを選択することが重要です。

磁場の強さ: 測定する磁場強度によって、適切なセンサーが異なります。ホールセンサーやMRセンサーは一般的な磁場検出に適していますが、より微小な磁場変化を検出する場合には、TMRセンサのようにMR比の大きいセンサを選ぶ必要があります。

環境条件: 使用する環境条件(温度、湿度、振動など)によって、センサーの選択が異なる場合があります。耐久性や防水性が必要な場合には、それに適したセンサーを選ぶ必要があります。

 

■信頼性と耐久性を重視する

磁気センサーの信頼性と耐久性は、長期的な使用において重要な要素です。

耐久性: 環境において適切な耐久性を持つセンサーを選ぶことで、長期間の使用が可能です。振動や衝撃に対する耐性、長時間の連続動作に耐える能力などを考慮しましょう。

保証とサポート: メーカーからの保証やサポート体制が充実しているセンサーを選ぶことで、万が一のトラブル時にも安心です。

磁気センサーを選ぶ際には、センサーの性能や特性、用途に合わせた選択、信頼性と耐久性を重視することが重要です。これらのポイントを考慮しながら、最適な磁気センサーを選びましょう。

 

磁気センサーを選定するときは専門家に相談するのがベストです

以上、磁気センサーについて簡単に解説しました。

磁気センサーは様々な分野で広く使われています。そして、応用範囲が広く様々な活用事例があるために、選定に迷うかもしれません。選定に当たっては、基本的な注意点を守れば必ず適切な選定が行えますが、信頼できる専門家に相談するとより安心です。

下西技研は磁気センサーに関しても豊富な実績を有しています。磁気センサーのことでお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

 

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