永久磁石で使用する用語
用語 | 記号 | 単位 | 説明 |
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ネオジム磁石 | Nd-Fe-B | 希土類磁石の一つ。レアアースであるネオジウム(Nd)、鉄(Fe)、ボロン(B)を主成分とした最強の永久磁石。異方性。錆びやすいため防錆処理が必要。近年では、Dyフリー品も市場に登場。(Dy:ディスプロシウム) | |
サマコバ磁石 | Sm-Co | 希土類磁石の一つ。レアアースであるサマリウム(Sm)、コバルト(Co)の金属間化合物の永久磁石。異方性。 錆びにくく、通常用途では防錆処理は不要。温度特性に優れる。 |
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フェライト磁石 | BaO-6Fe2O3 SrO-6Fe2O3 |
汎用性が高く、最も広く使用されている磁石。酸化鉄を主原料とし、安価であり、安定した磁気特性、錆びないなどの特長を有する。バリウム(Ba)系は等方性、ストロンチウム(Sr)系は異方性。 | |
焼結磁石 | 磁石原料を粉末にし、金型成型・高温焼成した磁石。フェライト磁石、サマコバ磁石、ネオジム磁石などがある。円柱や直方体など標準的な形状に向く。 | ||
ボンド磁石 | 磁性体粉末をゴムやプラスチックなどに混ぜて、金型や押し出しなどで成型した物。比較的複雑な形状に向いているが、焼結磁石に比べると体積当たりの磁性体の量が少ないため、磁力も弱くなる。 | ||
等方性 | 特性に方向性が無いものの総称。ボンド磁石などで、磁性体粉末をそのままベース材に混ぜて成形すると、磁化容易軸(材料の結晶組織において磁化しやすい方向)がバラバラになる。このような磁石を等方性磁石といい、等方性磁石はどの方向へも同じように着磁できる。 | ||
異方性 | ある方向のみ特性が異なるものの総称。成型の過程において磁性体粉末の磁化容易軸を一定方向に揃えたものを異方性磁石という。異方性磁石は磁化容易軸方向に着磁することでより強力な磁気を帯びる。磁化容易軸を揃える方法としては、磁場中成型法が代表例で、その他、機械的に圧力を加える方法などがある。 | ||
配向 | 材料粉末を、磁場発生成型機で圧縮成型すると、成型機の磁場と同じ方向に、結晶組織の磁化容易方向が揃う効果がある。結晶組織の磁化容易方向を磁場方向に揃えることを磁場配向と呼び、その成型法を磁場成型あるいは磁場中成型という。この工程を経た磁石は、その後焼成されて異方性磁石になる。 | ||
磁界(磁場) | H | A/m(Oe) | 磁石や電流の周りに存在する力のベクトル場。磁界の強さHの単位は、SI単位系ではアンペア毎メートル[A/m]、cgs単位ではエルステツド[Oe]を使う。 |
磁化 | 磁界または磁石の影響によって、物質が磁性をもつこと。磁石材料を磁化させることを着磁という。 | ||
消磁、脱磁 | 磁化された磁性材の磁気を抜き取ることを消磁または脱磁という。原理は、対象物に交流磁界をかけ、この交流磁界を徐々に小さくしていくことで磁化を小さくしていく。 | ||
磁性体 | 磁界または磁石の影響によって磁化される物質を磁性体という。より強く磁化されるものを強磁性体といい、鉄や磁鉄鉱など永久磁石の材料となる物がある。磁化されない物質を非磁性体といい、紙やプラスチックが代表例であり、金属では金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムなどがある。 | ||
磁力線 磁束 | 磁界の方向成分を仮想的な線で表したものを磁力線という。磁力線はN極から出てS極へ戻るように表し、決して交わることはない。磁力線の集まりを磁束という。 | ||
磁束密度 | B | T(G) | 単位面積当たりの磁束を磁束密度といい、磁界のある点の磁力を表す。磁束密度Bの単位は、SI単位系ではテスラ[T]、cgs単位系ではガウス[G]を使う。 |
ヒステリシス曲線 | 磁化の傾向と分布を表す非線形のデータ群またはそのグラフ。ある材料に対し、外部磁界(H)と材料の磁化(J)または磁束密度(B)の関係を表した曲線をヒステリシス曲線(磁化曲線)という。ヒステリシス曲線には材料の磁化と磁界の関係を示す曲線(J-H曲線)と、磁束密度と磁界の関係を示す曲線(B-H曲線)がある。ヒステリシス曲線のグラフにおいて第2象限は特に減磁曲線と呼ばれ、磁石の材料特性を表す重要な曲線となる。 | ||
最大エネルギー積 | BHmax | J/m3(GOe) | 磁石の強さを表す特性値の一つ。減磁曲線においてB-H曲線上の動作点と原点を対角とする四角形の面積(BXH)をエネルギー積といい、その最大値を最大エネルギー積という。 |
残留磁束密度 | Br | T(G) | 減磁曲線における縦軸との交点にあたる磁束密度。ある材料に飽和するまで磁界をかけた後磁界をゼロにしても、その材料が保っている磁束密度指す。残留磁束密度(Br)は材料に依存し、材料固有の磁力の強さを計る特性値の一つとなる。 |
表面磁束密度 | Bg | T(G) | ある磁石の極表面における磁束密度をいう。実際の測定においては、測定機の都合上、実際には表面からわずかに離れたところの値になる。磁石形状により値が変わり、測定箇所を限定しにくい点はあるが、磁石同士を比較する場合には有効な手段。 |
保磁力 | Hcb(bHc) Hcj(iHc) |
A/m(Oe) | 減磁曲線における横軸との交点を指す。ある材料を-旦飽和磁界をかけて磁化させた後、着磁方向とは反対の磁界を印加して磁力がゼロになったときの外部磁力を保磁力という。J-H曲線と横軸の交点をHcj(またはiHc)、B-H曲線と横軸の交点をHcb(またはbHc)と表す。保磁力は文字通り磁力を保てる強さを意味し、残留磁束密度と合わせ材料の特性を表す重要な特性値となる。残留磁束密度が大きくても保磁力が小さい材料は、形状や温度に対する依存性が強く、設計上注意が必要である。 |
パーミアンス係数 | Pc | 無次元 | 磁石の挙動を決めるパラメータで、形状に依存する。磁石は外部に磁界を発生させるが、同時に必ず内部にも反対方向の磁界(反磁界)が発生する。反磁界は磁石を弱める要素で、形状により異なる。パーミアンス係数とは、この反磁界に対する磁束密度で定義されている。傾向としては、着磁方向の距離(厚さ)が極の表面積に比較して、小さくなる(薄くなる)ほど反磁界が大きくなり、パーミアンス係数は小さく、磁力も弱くなる。 |
キュリー温度 | K、℃ | 温度上昇により結晶構造が変わってしまい磁石が完全に磁力を無くしてしまう時の温度を、キュリー温度またはキュリー点と呼ぶ。一度キュリー温度に達した磁石は、常温に戻しても磁力は回復しない。 |
ホール素子で使用する用語
用語 | 記号 | 単位 | 説明 |
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ホール素子 | – | – | 磁界の強さに応じて、数10~数100mVのアナログ電圧を出力する。 動作原理にはホール効果が利用されており、その出力は線形である。 ホール素子の原材料には数種類があり、その材料によって感度や温度特性が異なる。 表面実装のタイプや基板挿入タイプ等、様々な形状や大きさのパッケージがある。 |
最大定格 | – | – | 一瞬たりとも超えてはならない限界値。 電圧、電流、電力、温度、等がある。 超えた場合、製品の劣化・破壊等が起きる可能性がある。 |
最大制御電流 | Icmax | A | 最大定格の一つ。 入力端子間に連続的に印加できる電流の最大値。 |
最大制御電圧 | Vcmax | A | 最大定格の一つ。 入力端子間に連続的に印加できる電圧の最大値。 |
許容損失 | PD | W | 最大定格の一つ。 連続的に通電できる電力の最大値。 |
動作温度 | Topr | K,℃ | 最大定格の一つ。 連続的に通電できる周囲温度の範囲。 |
保存温度 | Tstg | K,℃ | 最大定格の一つ。 通電しない状態で許容される周囲温度の範囲。 |
周囲温度 | Ta | K,℃ | 素子の周囲温度。 ホール素子、ICは半導体であるため、熱の影響を受けやすい。 動作温度、保存温度範囲は厳守すべき条件。 |
制御電流 | Ic | A | 入力端子間に印加する電流。 |
制御電圧 | Vc | V | 入力端子間に印加する電圧。 |
不平衡電圧 | Vos(Vu) | V | 無磁界状態で規定の電圧を入力端子に印加した時の出力電圧。オフセット電圧とも言う。 無磁界状態の場合、出力電圧は0Vであるが、実際には誤差電圧が発生する。 |
ホール出力電圧 | VH | V | 規定の磁界中で、規定の電圧を入力端子に印加した時の出力電圧。 制御電流または制御電圧と磁束密度の積に比例した出力が得られる。 |
不平衡率 | Vos(Vu) , VH | – | 規定電圧を印加した時の不平衡電圧とホール出力電圧の比 |
入力抵抗 | Rin | Ω | 無磁界状態で出力端子開放時の入力端子間の抵抗 |
出力抵抗 | Rout | Ω | 無磁界状態で入力端子開放時の出力端子間の抵抗 |
出力電圧の温度係数 | αVH | %/℃ | 出力電圧の温度係数。 温度変化1℃当りで変化する割合。 |
入力抵抗の温度係数 | αRin | %/℃ | 入力抵抗の温度係数。 温度変化1℃当りで変化する割合。 |
ホール電圧直線性 | ΔK | % | 出力電圧と磁界の強さの関係を直線で表した時に、直線からずれた割合。リニアリティとも言う。 |
定電流駆動 | – | – | 入力端子に一定の電流を流す駆動方法。 |
定電圧駆動 | – | – | 入力端子に一定の電圧を印可する駆動方法。 |
Single Inline Package | SIP | – | 挿入型ICパッケージの種類の一つ。 パッケージの長辺側一列にリード(ICの足)を垂直に配置した形状。 ICだけでなくネットワーク抵抗などにも使われている。 |
Small Outline Package | SOP | – | 表面実装パッケージの代表的なもので、幅広く使用されている。 リードを表面実装向けに先端を外側へカモメの翼(Gull Wing)状に広げた形状。 SOPは別名SOICとも呼ばれるが、米国ではJEDEC仕様のものを中心にSOICと呼び、日本ではJEITA仕様のものを中心にSOPと呼ぶことが多い。 |
Small Outline Non-Lead Package | SON | – | リードが無く、代わりに電極パッドが接続用の端子として用意されている形状。 SONは2方向に電極パッドが配置され、低ピン数向けのパッケージとなる。 |
ホールICで使用する用語
用語 | 記号 | 単位 | 説明 |
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ホールIC | – | – | ホール素子と信号変換回路、増幅回路を1つのパッケージに組み込んだ磁気センサIC。 磁界の強さに応じて、ON/OFFの出力を出す。 磁界検出のタイプは、磁界の有無を検出する”スイッチタイプ”と、磁極の変化を検出する”ラッチタイプ”の2種類があり、用途に応じて使い分けられる。 高速タイプと低消費電力タイプがあるが、低消費電力タイプは、小型の表面実装タイプのパッケージが主流。 |
リニアホールIC | – | – | 磁界の強さに応じて、5V程度までのアナログ電圧を出力する。 ホール素子と後段回路を内蔵し、アナログのセンサとして簡単に使えるようにしたもの。 従って、出力は線形。 |
最大定格 | – | – | 一瞬たりとも超えてはならない限界値。電圧、電流、電力、温度、等がある。 超えた場合、製品の劣化・破壊等が起きる可能性がある。 |
電源電圧 | Vcc,VDD | V | 最大定格の一つ。電源電圧端子に印加する電圧。 |
出力開放電圧 | Vo(off) | V | 最大定格の一つ。出力端子に印加する電源。 |
出力流入電流 | Isink | A | 最大定格の一つ。出力端子よりホールIC内部に流れこむ電流値。 |
出力電流 | Iout | A | |
動作温度 | Topr | K,℃ | 最大定格の一つ。連続的に通電可能な周囲温度の範囲。 |
保存温度 | Tstg | K,℃ | 最大定格の一つ。通電しない状態で許容される周囲温度範囲。 |
周囲温度 | Ta | K,℃ | ホールICの周囲温度。ホール素子、ICは半導体であるため、熱の影響を受けやすい。 動作温度、保存温度範囲の中に必ず入らなければならない。 |
磁束密度 | B | T | 磁界に垂直な単位面積あたりの磁束線の数。磁束密度Bの単位は、SI単位系ではテスラ[T]、cgs単位系ではガウス[G]を使う。 |
動作電圧 | Vcc,VDD | V | 電源電圧端子に印加する電圧の値。動作することのできる電圧範囲。 |
電源電流 | Icc | A | 出力がH状態でVcc‐GND間を流れる電流の値。 |
IDD | A | VDD-GND間を流れる平均電流の値。 | |
動作磁束密度 | Bop | T | 出力がHからLとなる磁束密度(S極)。 |
BopS,BopN | T | 出力がHからLとなる磁束密度(BopS:S極)(BopN:N極)。 | |
復帰磁束密度 | Brp | T | 出力がLからHとなる磁束密度(S極)。 |
BrpS,BrpN | T | 出力がLからHとなる磁束密度(BrpS:S極)(BrpN:N極)。 | |
ヒステリシス幅 | Bh | T | Bh=Bop-Brp 動作磁束密度と復帰磁束密度の差。 |
BhS,BhN | T | BhS=BopS-BrpS、BhN=BopN-BrpN 動作磁束密度と復帰磁束密度の差。 | |
出力飽和電圧 | Vsat | V | 出力がL状態のOUT端子に一定電流を流した時のOUT端子の電圧。 |
出力漏れ電流 | Ileak | A | 出力がH状態のOUT端子に一定電圧を印加した時のOUT端子からホールICへ流れ込む電流。 |
出力電圧降下 | Vd | V | 出力がH状態でのVcc-OUT端子間電圧。電源電圧と出力端子間の差。 |
出力High電圧 | VOH | V | 出力がH状態の電圧。VSS端子(GND)-OUT端子間の差。 |
出力Low電圧 | VOL | V | 出力がL状態での電圧。VSS端子(GND)-OUT端子間の差。 |
プルアップ抵抗 | RL | Ω | 論理回路において外部デバイスが切断されても入出力端子が適切な論理レベルのままとなるよう使われる抵抗器。プルアップ抵抗の値。 |
パルス駆動周期 | Tp | – | ホール素子をパルス駆動する周期。 |
Single Inline Package | SIP | – | 挿入型ICパッケージの種類の一つ。パッケージの長辺側一列にリード(ICの足)を垂直に配置した形状。 ICだけでなくネットワーク抵抗等にも使われている。 |
Small Outline Package | SOP | – | 表面実装パッケージの代表的なもので、幅広く使用されている。 リードを表面実装向けに先端を外側へカモメの翼(Gull Wing)状に広げた形状。 SOPは別名SOICとも呼ばれるが、米国ではJEDEC仕様のものを中心にSOICと呼び、日本ではJEITA仕様のものを中心にSOPと呼ぶことが多い。 |
Small Outline Non-Leaded Package | SON | – | リードが無く、代わりに電極パッドが接続用の端子として用意されている形状。 SONは2方向に電極パッドが配置され、低ピン数向けのパッケージとなる。 |
リードスイッチで使用する用語
用語 | 記号 | 単位 | 説明 |
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感動値 | PD | AT | コイル励磁で接点を動作させるのに必要な電流値とコイル巻数の積。 感動値が低い程、感度が良くなる。最も重要な特性。 |
開放値 | DO | AT | コイル励磁で動作状態の接点が復帰する電流値とコイル巻数の積。感動値との相関がある。 |
接触抵抗値 | CR | Ω | 接点閉時の端子間抵抗値。導体抵抗を含む。 |
接点間耐電圧 | – | V | 接点間の絶縁破壊電圧で、リードスイッチが最大開閉電圧において安全に動作する電圧。 使用回路、外部要因で発生するサージに対し一時的な過電圧に耐える電圧を規定したもの。 |
絶縁抵抗 | – | Ω | 端子間の絶縁抵抗。リードスイッチのガラス管およびその表面の漏れ電流に対する抵抗値。 |
接点間静電容量 | – | pF | 接点開放時の接点間静電容量。 接点部の重なり面積は一定なので、感動値の増加に伴い接点ギャップが大きくなる。逆に静電容量は小さくなる。 |
接点容量 | – | W VA |
接点の使用可能な電圧・電流の積。接点開閉部の性能を定める上で重要な値。 開閉を行った場合一定の寿命、信頼性を保証するために超えてはならない値で(最大開閉電圧)×(最大開閉電流)よりも小さい値となっている。 接点に印加する電圧と電流の積がこの値を超えてはならない。「接点許容電力」「接点定格」等の呼称がある。 |
最大開閉電圧 | – | V | 接点が開閉可能な最大電圧で接点開閉部の性能を定める基準電圧。 開閉を行った場合一定の寿命、信頼性を保証するために超えてはならない値。 |
最大開閉電流 | – | A | 接点が開閉可能な最大電流で接点開閉部の性能を定める基準電流。 開閉を行った場合一定の寿命、信頼性を保証するために超えてはならない値。 |
最大通電電流 | – | A | 接点に通電可能な最大電流で接点を開閉することなしに連続 して接点部に通電できる電流値。 この値は最大定格であり、この値を超えた電流を接点に通電した場合、寿命、信頼性を損なう原因となる。 |
動作時間 | Top | ms | 励磁コイルに電圧を加えた時から接点が動作するまでの時間。 他に規定が無い場合、動作時間にはバウンス時間は含まない。 |
バウンス時間 | Tb | ms | 励磁コイルに電圧を加え、閉路動作をしようとしている接点が最初に閉路してから完全に閉路が完了するまでの時間。 |
復旧時間 | Trls | ms(μs) | 励磁コイルに加えた電圧を取り除いた時から接点が復帰するまでの時間。 |
共振周波数 | – | Hz | リードスイッチの固有振動数。この付近の振動が加わると誤作動を起こす場合がある。 |
最大駆動周波数 | – | Hz | リードスイッチの開閉可能な最大駆動周波数。この値以上の周波数になると、動作時間、バウンス時間との関連で正常な開閉動作が得られない場合がある。 |
標準コイル | – | – | リードスイッチメーカーが特性を計るために用いる専用コイルで、品種によって使用コイルは異なる。 |
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