・内部エネルギー
・仕事と内部エネルギー
・熱力学の第1法則<エネルギーの変換>
・熱機関
・熱力学の第2法則<不可逆変化>
内部エネルギー
物体を構成している分子の運動エネルギーと、分子間にはたらく力による位置エネルギーの和を、物体の内部エネルギーといいます。気体が理想気体としてふるまうのは、分子間にはたらく力が無視できるときであることが知られているので、理想気体の内部エネルギーは分子の運動エネルギーだけを考えれば良いことになります。
内部エネルギーは絶対温度に比例します
仕事と内部エネルギー
気体を圧縮すると気体の温度が上昇します。これは、気体にした仕事Wが気体の内部エネルギーの増加⊿Uになるからです。すなわち、⊿U=Wとなります。分子の運動に着目すると、次のように考えられます。
1)気体を圧縮するときピストンは動いているので、そのピストンに気体分子が衝突し、はね返されるときに運動エネルギーが増えることになります。
2)気体が膨張する場合は、気体が外部に対して仕事をするので、Wの分だけ内部エネルギーが減ることになります。
・圧縮・・・気体はエネルギーをもらう
・膨張・・・気体はエネルギーを失う
熱力学の第1法則<エネルギーの変換>
エネルギーはいろいろな形に変換されますが、変換前のエネルギーの量と変換後のエネルギーの量は同じです。どのような形に変換されてもエネルギーの総和は変わりません。これをエネルギー保存則といいます。
力学的エネルギー保存の法則と同様、熱力学の第1法則といいます。
熱機関
継続的に熱を仕事に変える装置を熱機関といいます。自動車のエンジンなどがその例です。熱機関では、温度の高い物体から熱量Q〔J〕をもらい、その一部を仕事⊿W〔J〕に変え、残りの熱量Q‘〔J〕を温度の低い物体に捨てます(⊿W=Q-Q’)。
このとき、もらった熱量に対する仕事の割合を、熱機関の効率(熱効率)といいます。
熱機関の効率=⊿W/Q=(Q-Q’)/Q=1-Q’/Q
継続的に熱を仕事に変えるには、Q=0とすることはできないので、熱機関の効率は1より小さくなります。
熱力学の第2法則<不可逆変化>
自ら元の状態に戻る変化を可逆変化、そうでない変化を不可逆変化といいます。
空気抵抗が無視できるとき、右端に振れたおもりはいったん左端に振れ、再び元の右端に戻ることができます。これが可逆変化です。一般に面上を動いている物体が、動摩擦力によって静止する場合は、元の状態に戻らないので不可逆変化となります。
物質を構成する分子1つ1つの運動は可逆的ですが、莫大な数の分子の運動は元に戻り得ません。したがって、熱現象は不可逆変化です。熱現象に限らず、巨視的な現象は一般に不可逆変化になります。これを熱力学の第2法則といいます。
この法則は場合に応じて様々な表現を用いて表すことができます。
「何も手を加えなければ、熱は常に高温物体から低温物体へ移動する」、「与えられた熱をすべて仕事に変えることはできない」などです。
熱機関の効率が1より小さくなるのも、この法則によるものです。
熱応用技術
エネルギーの変換と保存
エネルギーには、力学的エネルギーや熱エネルギーのほかに、電気エネルギー、化学エネルギー、光エネルギーなどがあります。これらのエネルギーは互いに変換することができます。例えば、乾電池で豆球を点灯する時乾電池で化学エネルギーが電気エネルギーに変換され、豆球では電気エネルギーが光と熱エネルギーに変換されます。
エネルギーはいろいろな形に変換されますが、変換前のエネルギー量と変換後のエネルギーの量は同じであり、これをエネルギー保存の原則といいます。その変換事例を下記に示します。
熱応用技術
熱の活用・応用の技術は古く、火を活用し始めた古代から、産業革命における火(熱)→蒸気→動力 の変換技術を含め、エネルギー活用技術としての歴史を持っています。したがって、その範囲は全産業分野に広がっています。
熱の応用技術として、熱を応用し活用する技術区分は以下のように分類できます。熱量をコントロールし、目的の使用に、より良く提供・活用できるようにする技術です。
区分 | 技術 | 素材 | 製品 |
---|---|---|---|
熱源 | 電熱ヒーター技術 | ニクロム線 | 暖房機器・調理機器 |
伝導 | 熱伝導技術 遮熱/断熱技術 |
ヒートパイプ | OA・家電機器 |
蓄熱 | 蓄熱技術(保存・保温) | 蓄熱レンガ | 家屋暖房 |
放熱 | 熱伝導技術 流体技術 |
放熱板・放熱装置 FIN・ヒートパイプ |
OA・家電機器 |
拡散 | 流体攪拌技術 | FAN | 空調機器 |
熱変換・応用技術を活用した製品展開
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