アクチュエータの種類と用途について、事例や市場動向まで

マグネットテクノロジー

 

アクチュエータとは?

 

■アクチュエータの定義と特徴

アクチュエータとは、電気、空気、油などのエネルギーから、機械的な動きを生み出す装置のことです。アクチュエータには、電気アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータなどの種類があります。これらの種類によって、動作する速度や力、精度が異なります。

そして、アクチュエータは、制御システムや自動化システムなどに利用され、その用途は様々です。また、アクチュエータは、高い可動性や安定性、省エネルギー性、低ノイズ化などの特徴を持ちます。これらの特徴により、様々な分野で活躍しています。

 

■アクチュエータの仕組みは?

アクチュエータの仕組みは、エネルギー変換によって機械的な動きを生み出すことです。アクチュエータは、機械的な動きを制御することができる装置であり、入力されたエネルギーを変換して、動力を発生させます。アクチュエータは、機械的な動きを生み出すために、エネルギーを受け取ると、それを内部で処理して、運動エネルギーに変換します。

この運動エネルギーは、電気、磁気、空気、油などのエネルギーによって生み出されます。例えば、電気アクチュエータは、電気エネルギーを受け取って、電磁石による力で動きを生み出します。一方、空気圧アクチュエータは、空気圧によってピストンを動かし、動力を発生させます。

アクチュエータは、入力されたエネルギーの種類や量によって、動作する速度や力、精度が変わるため、使用する環境や用途に合わせて適切な種類を選ぶ必要があります。

 

■アクチュエータの種類と用途

アクチュエータは動力源によっていくつかの種類に分けられます。電動、空気圧、油圧アクチュエータが一般的な種類であり、それぞれの仕組みと特徴について見ていきましょう。

電動アクチュエータは、モーターを動力源として使用します。モーターが駆動することでピストンやスクリューなどの機構を動かし、推力を生み出します。電動アクチュエータは、制御が容易で、設置が簡単なため、幅広い分野で使用されています。例えば、自動車や航空機、ロボット、医療機器などで使用されます。

空気圧アクチュエータは、空気を動力源として使用します。空気圧によってピストンを動かし、推力を生み出します。空圧アクチュエータは、設置が簡単で、動作が滑らかなため、様々な分野で使用されています。例えば、機械、自動車、船舶、ロボット、医療機器、または食品加工機器などで使用されます。

油圧アクチュエータは、油圧を動力源として使用します。油圧アクチュエータは、高い力を発揮できるため、大型の機械や設備で広く使用されています。油圧アクチュエータは、油圧シリンダー、油圧モーター、油圧ポンプなどの様々なタイプがあり、用途に応じて適切なものを選ぶことができます。例えば、建設機械や重機、船舶、航空機、工場の機械などで使用されます。

 

■アクチュエータのメリットとデメリット

アクチュエータのメリットとデメリットについて考えてみましょう。まず、アクチュエータの最大のメリットは、機械的な動作を自動化し、人間の労力を大幅に削減できることです。これにより、作業の生産性を向上させることができます。

また、アクチュエータは、高精度な動作を実現することができます。これは、機械的な動作を精密に制御するために必要な精密駆動が可能なためです。さらに、アクチュエータは、高速で動作することができるため、製造ラインのスピードアップや生産性向上に役立ちます。

一方、アクチュエータのデメリットとしては、費用が高いことが挙げられます。また、アクチュエータの種類によっては、取り付けやメンテナンスが困難な場合があります。

以上のように、アクチュエータには様々なメリットとデメリットがあります。使用目的や用途に合わせて、適切なアクチュエータを選択することが重要です。

 

■アクチュエータの歴史

アクチュエータの歴史について紹介します。最も初期のアクチュエータは、水力発電所で使用されていた水車です。つまり「水力アクチュエータ」です。水車は、水の力で回転し、発電機を駆動するためのエネルギーを供給していました。

19世紀になると、蒸気エンジンが登場し、蒸気を利用して機械装置を動かすことができるようになりました。つまり「蒸気アクチュエータ」です。この頃には、バルブやピストンなど、現代のアクチュエータにも似た機構が使われるようになっていました。

20世紀に入ると、電気が利用されるようになり、電動アクチュエータが登場しました。これにより、より精密な制御が可能になり、機械装置の自動化が進んでいきました。

現代では、多様な種類のアクチュエータが開発されており、様々な分野で利用されています。例えば、自動車や航空機、ロボットなどの産業用途や、医療機器、家電製品、建築物などの日常生活に密接に関わる製品にも使用されています。

以上のように、アクチュエータは長い歴史を持つ技術であり、現代社会においても重要な役割を果たしています。

 

アクチュエータの応用例

 

■自動車のアクチュエータ

自動車においては、エンジン制御やブレーキ、ステアリングなど様々な機能がアクチュエータによって制御されています。

具体的には、エンジンのスロットルバルブの開閉や、ブレーキの制動力の調整に用いられます。ステアリングでは車輪の方向転換を制御します。そのほかにも、電動式や油圧式、空気式など、様々なものがあり、使用目的によって使い分けられます。

自動車のアクチュエータは、安全性や快適性を向上させることができますが、万一、故障した場合、特に、ブレーキやステアリングのアクチュエータの故障は重大な事故につながる可能性があるため、高い信頼性が求められます。

 

■工場の自動化におけるアクチュエータ

工場の自動化においてアクチュエータは欠かせない存在であり、生産性や効率性の向上に大きく貢献しています。例えば、工場内で大量に生産される製品の組立ラインにおいて、アクチュエータを使用することで高速かつ正確な動きを実現することができます。

また、機械加工などの作業においても、アクチュエータを利用することで素早く正確な機械加工を実現することができます。さらに、アクチュエータを組み込んだロボットを使用することで、作業効率を向上させることができます。

工場の自動化におけるアクチュエータは、生産性向上や人手不足の解消など、多くのメリットがある反面、設備や導入費用の面でのデメリットもあります。しかし、現在では高度な技術の進歩や低価格化が進んでおり、多くの企業がアクチュエータを導入しています。

 

■ロボットのアクチュエータ

ロボットにおいてアクチュエータは欠かせない部品の1つです。ロボットが動くためには、それぞれの関節部分で自由度を持った駆動機構が必要であり、その駆動機構にはアクチュエータが使用されます。

一般的にロボットのアクチュエータは、高い出力と正確な制御が必要であり、電気アクチュエータがよく用いられます。また、ロボットが動くためには、それぞれのアクチュエータを正確に制御することが必要であり、その制御にはセンサーなどの各種デバイスが必要になります。

 

■医療機器のアクチュエータ

医療分野では、患者さんへの負担を軽減するために、より正確かつ迅速な診断・治療が求められています。そのために、医療機器の自動化が進んでいます。アクチュエータは、自動化された医療機器において、医師の指示に応じた正確な動きを実現する重要な部品の1つです。

例えば、MRI診断装置(CTスキャナー)のテーブルを動かすアクチュエータは、高精度な位置決めが必要とされています。また、手術用ロボットに搭載されたアクチュエータは、細かな手術を可能にし、手術中の医師の負担を軽減することができます。

 

■建築物のアクチュエータ

建築分野では、省エネルギー・快適性・安全性などの観点から、自動制御システムが普及しています。アクチュエータは、建築物の自動化システムにおいて、窓や扉、エアコンのダクトなどを自動的に開閉・制御するために使われています。

例えば、高層ビルの窓を開閉するアクチュエータは、外気温や風向きなどの状況に合わせて、適切な位置に自動的に動かすことができます。また、空調ダクトのバルブを開閉するアクチュエータは、部屋ごとの温度調節を可能にします。さらに、火災報知器からの信号を受け取ったアクチュエータは、自動的に避難口の扉を開放することができます。

 

アクチュエータの市場規模

アクチュエータ市場は、自動車や機械、電子機器など、多岐にわたる分野で利用されています。2021年の世界市場規模は約540億米ドルですが、2027年には約866億米ドルに拡大すると予測されています。

AIや機械学習の発展に伴い、自動化の傾向が高まっています。それにより医療・自動車・産業用ロボット・農業・食品・輸送など様々な業界でアクチュエータのニーズが高まると予測されます。

特に医療業界においては、注目を集めると考えられます。 医療業界では、アクチュエータを利用した革新的な機械を設計・製造しています。アクチュエータは、電動車椅子、患者用リフト、治療用椅子、医療用ベッド、CT、MRIなどの医療機器に使用されます。

世界の医療用アクチュエータ市場の成長は、主に医療施設の拡大や高齢者の増加などの要因によるものです。

 

アクチュエータのこれから

アクチュエータは、自動車や機械、ロボットなどの分野で広く使われていますが、今後ますます多様な分野での利用が期待されています。

具体的には、医療分野での利用や、スマートホーム、スマートファクトリーなどの分野での利用が期待されています。また、AIやIoTなどの技術の進化に伴い、アクチュエータが持つ機能も進化することが期待されています。

アクチュエータは、社会の高度化に伴って発展してきましたが、これからも発展しつづけ、私たちの生活をより便利に、豊かにしてくれるでしょう。

 

▼関連記事

▼お問い合わせ