熱応用技術の基礎 ②熱とエネルギー

サーマルテクノロジー

温度

「温度」というのは、私たちの暑さ、寒さ、暖かさ、冷たさの感覚を数値的に表したものです。私たちは日常生活でセルシウス度(摂氏温度、単位記号℃・度)を使っています。
これはスウェーデンのセルシウスが水の沸点を100度、氷の融点を0度として間を100等分する温度目盛りを決めたものです。他に、水・氷・食塩を混合したときの温度を0度とし、氷の融点を32度、人間の体温を96度とする温度目盛りファーレンハイト温度(華氏温度、単位記号°F)が使われていました。このように、温度目盛りには各種の方式があります。
そこで、理論的に妥当な温度目盛りが「絶対温度」として決められました。絶対温度では、温度目盛りを導入したイギリスのケルビンにちなんで、単位はケルビンとしています(単位記号はK)。
温度の下限は原子や分子が運動しなくなる温度(セルシウス度で-273.15℃)を0〔K〕とし、温度目盛りの(幅温度差)1 〔K〕はセルシウス度の1℃と等しくしています。
今の考え方では、「温度」は物体をつくっている原子や分子の運動エネルギーの平均値を表すような物理量です。分子運動が激しくなる(運動エネルギーの平均値が大きくなる)と、一般に分子間の平均距離が大きくなります。原子や分子の運動エネルギーの平均値が大きくなると、多くの物体は体積が大きくなります。水銀温度計や、アルコール温度計は、この体積増加を測定することによって、原子や分子の運動エネルギーにおける平均値の変化を測定しているのです。

 

熱とエネルギー

昔、人々は熱を物質のように扱っていました。「熱素(カロリック)」を質量が0の元素であると考えていました。フランスのランフォードが、大砲の中繰り作業を続ける中で、中繰り作業そのもの(仕事)が熱になると考えました。
仕事と熱の関係を量的にきちんと求めたのはイギリスのジュールです。ジュールは、仕事と熱の関係を求める実験をいろいろな方法で行い、一定の量の仕事がいつも一定の量の熱に相当することを確かめました。何種類もの実験を何度もくり返し、ジュールは、1gの水の温度を1K上げるのに4.2Jの仕事がいつも必要であることを確認しています。ジュールによって確認されたこの関係は、現在でも使われています。
つまり、4.2Jの仕事は水1gの温度を1K上昇させる熱に相当します。このように、現在では、熱は仕事と同じようにエネルギーの変化(移動)の形態の1つと考えられています。

 

熱運動と温度

昔、人々は熱を物質のように扱っていました。「熱素(カロリック)」を質量が0の元素であると考えていました。フランスのランフォードが、大砲の中繰り作業を続ける中で、中繰り作業そのもの(仕事)が熱になると考えました。
仕事と熱の関係を量的にきちんと求めたのはイギリスのジュールです。ジュールは、仕事と熱の関係を求める実験をいろいろな方法で行い、一定の量の仕事がいつも一定の量の熱に相当することを確かめました。何種類もの実験を何度もくり返し、ジュールは、1gの水の温度を1K上げるのに4.2Jの仕事がいつも必要であることを確認しています。ジュールによって確認されたこの関係は、現在でも使われています。つまり、4.2Jの仕事は水1gの温度を1K上昇させる熱に相当します。このように、現在では、熱は仕事と同じようにエネルギーの変化(移動)の形態の1つと考えられています。

 

このように熱はエネルギーのひとつなのです。温度の高いところから低いところにエネルギーが移動する(流れる)ときのエネルギーの移動形態(移動のしかた)の一つで、力学的な(力による)仕事や物質の移動などにはよらないものです。上で述べた例のように振動が伝わることはエネルギーが伝わることに相当します。
これらの高低(エネルギーの大小)を表すのに、温度という物差を使います。
また、エネルギーとしての熱の量を「熱量」で表し、その伝わり具合を「熱伝導」といいます。

 

熱の物差(温度)

分子の運動エネルギーが0になる温度を絶対温度とし、0〔K(ケルビン)〕で表し、セルシウス度〔℃〕と同じ間隔の目盛りを用います。セルシウス度:t〔℃〕と絶対温度:T〔K〕との関係は、次のようになります。

絶対温度T:  T=t+273.15 [K]

セルシウス度と絶対温度は目盛りのゼロ点が異なるだけで、1度の差は共通です。

 

熱量

温度の高い物体Aと、温度の低い物体Bを接触させるとき、熱運動の変化は次のようになります。

AとBの接触部分では、Aの分子とBの分子が何度も衝突します。その結果、Aの熱運動の激しさは徐々に減少し、Bの熱運動の激しさは徐々に増していきます。十分に時間が過ぎ、熱運動の激しさが等しくなったときが、同じ温度になるときです。(熱平衡)
以上の変化では、Aは熱運動のエネルギーを失い、Bは熱運動のエネルギーを得ています。これは熱運動のエネルギーがAからBへ移動したということです。この移動した熱運動のエネルギーを、熱あるいは熱エネルギーといい、その分量を熱量といいます。
熱量の単位にはエネルギーの単位〔J〕を用います。

 

比熱と熱容量

ある物体全体の温度を1K、あるいは1℃上げるのに要する熱量を、その物体の熱容量といいます。単位には〔J/K〕などを用います。
また、単位質量あたりの熱容量のことを比熱といいます。物体を作っている物質が、熱量によってどれぐらい温度が変化しやすいかを比べるとき、物質の量が多ければたくさんの熱量が必要です。物質の性質を調べたいときは物質の量を揃える必要があります。
そこで、物質1gあたりの熱容量(物質1gの温度を1K上昇させるのに必要な熱量)をその物質の比熱と呼びます。
比熱の単位は、ジュール毎グラムケルビン(単位記号J/g・K)を用います。

例えば、水の比熱は約4.2J/g・K です。単位には〔J/g・K〕となります。
今、熱容量C〔J/K〕、比熱c〔J/g・K〕、質量m〔g〕の物体が熱量Q〔J〕を吸収するときの温度上昇を⊿T〔K〕と
すると、次の関係式が成立します。

温度変化と熱量の関係式 Q=C⊿T=mc⊿T  C=mc

上式は、熱量Q〔J〕を放出し、温度が⊿T〔K〕降下するときの関係式でもあります。

※熱量の単位には〔J〕のほかに〔cal〕(カロリ-)があります。1calは1gの水の温度を1Kだけ上げるのに必要な熱量であり、1〔cal〕≒4.2〔J〕です。水の比熱を〔cal〕を用いて表すと1〔cal/g・K〕と言う場合もあります。

 

熱量の保存

周囲と熱のやりとりをしない容器を断熱容器といいます。断熱容器の中に冷たい水と熱い金属とを入れておくと、やがて水は温まり、金属は冷え、両者の温度は等しくなります。このとき、水が吸収した熱量と、金属が放出した熱量は等しく、これを熱量保存の法則といいます。

低温物体が吸収した熱量=高温物体が放出した熱量

※熱の正体はエネルギーですので、熱量保存の法則は熱に関するエネルギー保存則となります。

 

固体・液体・気体

固体の中の分子は、定まった位置のまわりを無秩序に振動しています。固体に熱を加え、温度を上げていくと融解し液体になります。このとき、分子は定まった位置から離れ、互いにその位置を変えながら運動します。固体も液体も分子の間隔は非常に小さく、大きな力を受けても体積はほとんど変化しません。液体の温度をさらに上げると気化し、気体になります。このとき、分子は液体の表面から飛び出し、空間を飛びかうようになります。気体の中の分子間隔はきわめて大きくなります。

以上のように、固体・液体・気体では分子の結合が異なるので、熱の伝わり方も一様ではありません。

 

潜熱

分子は熱運動による運動エネルギーのほかに、分子間にはたらく力による位置エネルギーをもっていますが、物体の温度は位置エネルギーではなく、運動エネルギーで決まります。熱を加え続けても、固体が融解している間は温度が変わりません。このとき、分子間にはたらく力による位置エネルギーだけが変化し、運動エネルギーは変化しません。このように、温度上昇のためでなく、単に物質の状態(固体・液体・気体)を変化させるために費やされる熱を潜熱といいます。

・融解熱:単位質量の固体が、同じ温度の液体に変わるときの潜熱
・気化熱:単位質量の液体が、一定の圧力の下で、同じ温度の気体に変わるときの潜熱

※気体から液体、あるいは液体から固体へ変わるときは、気化熱や融解熱に等しい熱量が放出されます。

固体⇔液体  液体⇔気体 の変化の間は温度が変わらない

 

摩擦による発熱

物体と物体をこすり合わせると、接触面の温度が上がります。これは、接触面の分子や原子がぶつかり合い、熱運動のエネルギーが増えるからです。このことから、摩擦によって熱が発生するといえます。摩擦力を受けなから物体が運動すると、物体の力学的エネルギーは減少します。このとき、発生する熱量と減少する力学的エネルギーは等しくなります。

発生する熱量 Q〔J〕=減少する力学的エネルギーW〔J〕

これが、熱量を含めたエネルギー保存則です。

 

熱の仕事当量

熱の本質がエネルギーであることが解明される以前は、熱量の単位として〔cal〕を用いていました。
ジュールという人は、摩擦や抵抗によって熱が発生するという事実から、実験によって仕事と発熱量の関係を調べ、その結果、減少する力学的エネルギーの量W〔J〕と、そのとき発生する熱量Q〔ca1〕との間に、常に一定の比例関係:W=JQが成り立つことを見つけました。
この比例定数J〔J/cal〕を熱の仕事当量といいます。

熱の仕事当量:J W=JQ

実験によると、J≒4.2〔J/cal〕です。